インシデントを減らす工夫

業務

はじめに

医療現場では薬剤の間違いや患者間違い、医療機器取り扱いの間違いなどといったミスが起こる危険性があります。

 

看護師をやっていて今までに一度もミスをしたことがないという人はおそらくいないでしょう。


誰もが一度は経験のある看護業務上のミスですが、そういった我々のミスの矛先は紛れもなく患者なので、安全に業務を遂行するためにはそれらを防いでいくことが必要となります。

 

また、ミスに至っても至らなくても、そこには何かしらの原因がありますので、今回はそれらの原因を取り除くための方法をいくつかご紹介します。

 

インシデント、アクシデント、ヒヤリハットの違い

インシデントという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、その他に「アクシデント」、「ヒヤリハット」があります。


まずはそれぞれの意味を見ていきましょう。

 

 

インシデント:ちょっとした異変という程度で済んだが、もしかすると大事に発展していたかもしれなかった出来事。

 

アクシデント:思わぬ事故、不意の出来事。

 

ヒヤリハット:危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象。(「ヒヤリ」「ハッ」と したこと)

このような違いがあります。


これだけを見るとアクシデントにまでは至らなかったと言う意味で、インシデントとヒヤリハットは似ているようにも見えます。

 

しかし詳細はもちろん違います。

ヒヤリハットは、アクシデントに至る前に気付けていると言うところがポイントです。


インシデントは大事とまではならなかったが、ヒヤリともせずにその小さな事象に至ってしまっています。

 

 

噛み砕いてみるとこのような違いがありますが、それぞれの事象に合わせて使い分けているところはあまりなく一括りにインシデントと言っていることが多いかと思います。

チーズモデル

インシデントではよくスイスチーズに例えられます。


下の図の一枚のスライスチーズが一人で、その穴が確認の穴です。


何人かで確認をしてそれぞれ穴が一緒だった場合ミスに至ります(下図の上)。


一方、穴が違う人が一人でもいればそこで防ぐことができてミスに至らずに済みます(下図の下)。

この図でもわかるように、我々看護師は穴の数を減らして、尚且つそれぞれの穴を小さくする必要があります。


穴はそれぞれの経験だったり意識により変化します。

 

目標の看護師がいてその人になろうと頑張っている人だったり、新人の時に同じ看護師に指導を受けていたりすると、考え方が似てしまうので穴の位置が同じになり一緒に物事を確認した時にミスに至りやすくなります。

 

インシデントを減らす工夫

スイスチーズモデルのことがわかったところで、実際にインシデントを減らす工夫について話していきます。

 

 

①ダブルチェックの際は、自分とは違う穴の人と確認する。


違う穴の人というのはぱっと見ではわかりませんね。

あまり難しく考えずに自分と考えや経験が似ていない人。

程度の捉え方でいいと思います。

 

 

前の章でも話したように、似たような人だと自分が見逃したところも同じように見逃してしまう可能性が高くなるからです。(穴が違う人でも日頃から確認作業が雑な人は除外)

 

僕はよく周囲から変わっていると言われます。

この変人であることが周りとの違いを生み、チーズでいう穴の場所の違いになると思います。

 

みんなが色んな方向に逸脱していれば穴の場所がそれぞれ違って事故は起こりにくくなるんじゃないかと思います。

 

 

 

②疑う

 
医者の指示は間違いない。

薬剤師の調剤は間違いない。

○○さんが確認したのなら間違いない。

 

 
これらのよくありがちな信じる行為が確認作業においては非常に良くないです。


間違いはないか?本当に合ってるのか?という疑いの目が大切になります。

 

過去にダブルチェックのミスがあった際、確認工程を増やしてトリプルチェックにしようという案が出たこともありました。

しかしトリプルチェックこそ、社会的手抜きが起こると言われています。

 

1番目の確認者:自分の他にあと2人確認するからざっと確認すればいいや。

 
2番目の確認者:自分の次にもう1人確認するなら、もし間違っていてもそこで引っ掛けてくれるだろう。

 
3番目の確認者:自分の前に2人確認してるから合ってるに違いない。

 

 

という風に面白いように手抜き作業が行なわれるので絶対に止めた方がいいです。

 

チーズモデルの図では何人もの確認工程の様子が描かれた図なので矛盾が生じているようにも見えますが、ここでいうトリプルチェックとは、あらかじめ3人で確認すると決まっていた場合に限ります。

③通常の状態を認知しておく

 
これは、日常のいわゆる「普通」という状態をしっかり把握しておくことで、通常との違和感・相違点に気づきやすくなるということです。

いつも通りという状態をスルーせず認知することが大切。

 

通常の状態把握ができたらもう一歩踏み込んで、「いつもは○○なのに今日は△△だな〜。」
となんとなーくでいいので考える癖をつけると、異変を察知しやすくなりミスの発見が容易になります。

 

まとめ

今回はインシデントを減らす工夫。自分で気を付けるところ、ダブルチェック者選びのポイントについてチーズモデルを参考に解説しました。

 

指示を出すのは医者で、仮に薬剤投与の指示が出た場合最終的に患者投与するのは我々看護師ですので確認は非常に大切になります。

 

今回の記事を参考に、少しでも医療現場でのミスが減れば嬉しいです。

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